博士の愛した数式

博士の愛した数式(2005/日本)
評価(お奨め度)★★★★
監督: 小泉堯史
プロデューサー: 荒木美也子/桜井勉
エグゼクティブプロデューサー: 椎名保
原作: 小川洋子 『博士の愛した数式』(新潮社刊)
脚本: 小泉堯史
撮影: 上田正治/北澤弘之
美術: 酒井賢
衣装コーディネーター: 黒澤和子
編集: 阿賀英登
音楽: 加古隆
音響効果: 斎藤昌利
照明: 山川英明
装飾: 柴田博英
録音: 紅谷愃一
出演: 寺尾聰/深津絵里/齋藤隆成/吉岡秀隆/浅丘ルリ子

『雨あがる』の小泉堯史監督作。監督は『阿弥陀堂だより』に続き、吉岡秀隆をルート先生に起用。吉岡秀隆はまたまた先生。今度は医者で無く、数学の先生だ。黒澤組のスタッフが今回描くは、交通事故による記憶障害を持った博士。そこに家政婦として雇われた杏子(深津絵里)とその子供ルート(齋藤隆成)の物語である。博士の記憶は80分しか持たないため、いつまでたっても覚えてもらえず、同じことを繰り返すようにデジャヴのような日々を繰り返す。
24という数字。単なる数字だが、4の階乗、素数が掛け合わさった数字。博士はそれを潔い数字だという。数学に美を感じている。証明なんかは博士にとって芸術なのだ。220の約数の和は284。284の約数の和は220。この2つの数字はピタゴラスが発見した友愛数という関係だ。その後、1184と1210が友愛数であることを1866年にパガニーニが発見したということだ。ラファエロボンベリが創造した虚数。その数自身を除く約数の和が、その数自身と等しい完全数。自然対数底eと円周率πと虚数i。そんな繋がりそうもない数字の関係に1という数字だけが0、いわゆる無という秩序を生み出すという。eπi+1=0というオイラー等式。自然対数とか円周率の存在定義さえ難しいのにそれを虚数を絡めて乗ずるなんぞもう理解の域を超えてしまったが、なんだか神秘的である。そんな数字への接し方をルート先生は授業で教えていた。博士から感じた数学への愛情を持って、数字にドラマを感じさせる。数学が好きになりそうだ。
記憶が維持できない前向性健忘症の主人公をG.ピアースが演じた『メメント』は殺人犯を追うサスペンスであったが、本作は、記憶が維持できなくても、ふれあいの中に互いに癒されあう人間愛を見させてくれた。たとえ断片のような人生であっても、世界は広がり得るのだ。「ウィリアム・ブレイク“一つぶの砂に 一つの世界を見 一輪の野の花に 一つの天国を見 手のひらに無限を乗せ 一時のうちに永遠を感じる”」。

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