ボーン・アルティメイタム

画像ボーン・アルティメイタム(2007/アメリカ)
THE BOURNE ULTIMATUM
評価(お奨め度)★★★★★
監督: ポール・グリーングラス
製作: フランク・マーシャル/パトリック・クローリー/ポール・L・サンドバーグ
製作総指揮: ジェフリー・M・ワイナー/ヘンリー・モリソン/ダグ・リーマン
原作: ロバート・ラドラム
原案: トニー・ギルロイ
脚本: トニー・ギルロイ/スコット・Z・バーンズ/ジョージ・ノルフィ
撮影: オリヴァー・ウッド
プロダクションデザイン: ピーター・ウェナム
衣装デザイン: シェイ・カンリフ
編集: クリストファー・ラウズ
音楽: ジョン・パウエル
出演: マット・デイモン/ジュリア・スタイルズ/デヴィッド・ストラザーン/スコット・グレン/パディ・コンシダイン/エドガー・ラミレス/ジョーイ・アンサー/コリン・スティントン/アルバート・フィニー/ジョーン・アレン/トム・ギャロップ/コーリイ・ジョンソン/ダニエル・ブリュール

『ボーン・アイデンティティー』『ボーン・スプレマシー』に続くシリーズ完結編。『ヴァージン・フライト』『ユナイテッド93』のP.グリーングラスが『ボーン・スプレマシー』に引き続いて監督。2007年アカデミー賞音響賞、編集賞(C.ラウズ)、同年英国アカデミー賞編集賞(C.ラウズ)、音響賞を受賞。通してブルーバックは一切使っていないため、迫力は尋常では無く撮影は大変だったと思う。また、P.グリーングラス監督ならではの手持ちカメラを駆使したドキュメンタリータッチの映像がリアリティと緊迫感を与えている。「超★映画評-愛と暴力の行方」で奥山篤信氏は、IT社会で考えられるあらゆる道具、それに体ごとの肉弾戦が加わり観客を魅了すると記述していた。また、M.デイモンは何でも出来る俳優であり、本シリーズでのアクションも褒めていた。
前作『ボーン・スプレマシー』でキリル・グレツコフとの闘いを制したジェイソン・ボーン(M.デイモン)が傷ついた体で警官隊から逃げるモスクワのシーンから始まる。トレッドストーン計画が生み出した最強兵器ボーン。重要指令が失敗に終わった時、計画の漏洩を恐れるCIAはボーン殺害を試みるが自らが作り出した殺人兵器は簡単には倒れない。それどころか手の内を熟知され返り討ちにあう。監視カメラに、電話傍受、網の目に張られたネットワークを掻い潜り、つかわされた暗殺者も仕留めていく。本作でも、モロッコのタンジールで死闘を繰り広げたデッシュ(J.アンサー)やロンドンのウォータールー駅に送り込まれ、ボーンが守ろうとした新聞記者ロス(P.コンシダイン)を仕留め射殺したパズ(E.ラミレス)等は喋ることなく淡々と職務をこなすシリアスさと非情さを備えており。彼らに対するボーンの奮闘劇は生々しく緊迫感たっぷり。監視カメラの網の目を縫ってロスと接触したり離れて誘導したりの調査局長ノア・ヴォーゼン(D.ストラザーン)指揮下のCIAとの頭脳戦が繰り広げられるウォータールー駅のシーンは興奮する。ウォータールー駅はイギリスに行った時宿泊先からロンドン観光に向かう際必ず乗り降りした駅である。覚えのある風景に懐かしく見入りながらの印象一番強いシーンとなった。
自らを抹殺しようとするCIAトレッドストーン"計画組に立ち向かうことには理解できるが、自分何故暗殺者となったのか、知りたくない秘密に触れることはないとも思ったが、そこに行きつかなければ、トレッドストーン計画首謀者を白日の元にさらし、CIA長官エズラ・クレイマー(S.グレン)やノア局長らの魔の手を封じることは出来ない。やつらは組織を利用してとことんまで自分の保身を図る。こんな輩には“アルティメタム”、最終通告してやるべし。逃げていたのではCIA網から、相手の息の根を止めることが大切なのだ。CIAは映画でよく登場する組織であるが、どこまでが本当なのか、正義というものさしではグレイな作戦も行っている。ニッキー(J.スタイルズ)やパメラ(J.アレン)のように各々職務を黒と判断し自分の信念によって組織に抵抗する事にはひとかたならぬ困難がある。命を懸けてボーンに加担したニッキー。ボーンとの関係はどこか意味深であるが、甘っちょろさは一切持ち込まずシリアスであるのがかっこいい。ボーンの生存を確信して笑みを浮かべて終わる。あくまで言葉無い中で描いていくスパイもの。コミック的SF世界を作り上げた007シリーズとは対極にある。ダニエル・クレイグがジェームズ・ボンドとなった『007/カジノ・ロワイヤル』『007/慰めの報酬』はシリアス路線に傾倒しつつある。これは間違った方向である。007に求めるのはユーモアであり、洗練された紳士スパイである。本作ジェイソン・ボーン・シリーズのような泥臭いリアリティではない。

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