どですかでん

どですかでん(1970/日本)
評価(お奨め度)★★★★
監督: 黒澤明
製作: 黒澤明/松江陽一
原作: 山本周五郎
脚本: 黒澤明/小国英雄/橋本忍
撮影: 斎藤孝雄/福沢康道
美術: 村木与四郎/村木忍
編集: 兼子玲子
音楽: 武満徹
助監督: 大森健次郎
出演: 頭師佳孝/菅井きん/殿村敏之/三波伸介/橘侑子/伴淳三郎/丹下キヨ子/日野道夫/古山桂治/下川辰平/田中邦衛/吉村実子/井川比佐志/沖山秀子/松村達雄/辻伊万里/山崎知子/亀谷雅彦/芥川比呂志/奈良岡朋子/三谷昇/川瀬裕之/根岸明美/江角英明/高島稔/加藤和夫/荒木道子/塩沢とき/桑山正一/寄山弘/三井弘次/ジェリー藤尾/谷村昌彦/渡辺篤/藤原釜足/小島三児/園佳也子/牧よし子/桜井とし子/高原とり子/小野松枝/新村礼子/人見明/市村昌治/伊吹新/二瓶正也/江波多寛志/小野久美子/柳下達彦

カラーで描かれる本作品は黒澤明監督初のカラー作品だそうだ。彼の監督作の中では『姿三四郎』『赤ひげ』に続く作品で、この後は『デルス・ウザーラ』『影武者』へと続く。 “どですかでん”とは知的障害のある六ちゃん(頭師佳孝)が町中走り回ってひとり電車ごっこする時に言っている言葉。電車の走る音である。そんな六ちゃんを抱えて母親(菅井きん)一人手で世間の誹謗をかみ殺し生きている。河口 (田中邦衛)と増田 (井川比佐志)は仕事仲間。いつも飲んだくれて帰って来ては家でも飲んだくれる。彼らの妻(吉村実子、沖山秀子)も変わっている。赤色服組の川口家と黄色服組の増田家は夫婦交換するといった変わり者。綿中京太(松村達雄)も飲んだくれでその上働きもしない。一緒に暮す姪・かつ子(山崎知子)に痩せこけるまで働かせた上、手をつけて身篭らせるとんでもない男だ。良さん(三波伸介)は妻(橘侑子)が浮気性なため、自分の子でないと思われるたくさんの子供と暮している。文句ばかりで無愛想なワイフ(丹下キヨ子)を持つ人のいい島さん(伴淳三郎)は、ワイフのことを悪く言った同僚に「それでもこんな自分についてきて苦労している、自分にとっては大切なワイフ」と食ってかかる。そんな島さんだが感情を押さえ込んでいることによる発作のような所作クセを持つ。立派な家を建てる想像だけを糧にしている乞食(三谷昇)とその子供(川瀬裕之)。子供は食べ物を恵んでもらっては何もしない父親に食べ物を持って帰ってくる。西洋風の家だなんだと父親の夢想に付き合う子供が不憫でならない。体調不良で顔色悪い様子にも楽観的に父親は何にもせず、放ったらかしにされ挙句に死んだ子供がかわいそうだ。長老(渡辺篤)に言われ、子供を埋葬した後、その場所を観てプールを夢見る父親には情けなくなる。
ここ埋立地で暮すこれらの人々は裕福なんてかけ離れたギリギリの生活をしている。広場の真ん中にある水道を囲んである種のコミュニティを形成している。そんな人々の群像劇である。これでもかと窓に壁にいっぱい貼られた六ちゃんの描いた電車の絵で終わる。貧しくとも各々生きていくヒューマニズム。電車の絵はそんな生活の中でも夢を抱いて欲しいとの訴え、期待なのだろう。
『赤ひげ』『椿三十郎』と同じ山本周五郎原作とはいえ、エンターテイメントではない本作は興行も悪く評価も低い。だが、題材の割にはユーモアもあり流石黒澤と私は思う。

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