ゆれる

ゆれる(2006/日本)
評価(お奨め度)★★★★★
監督: 西川美和
製作: 川城和実/重延浩/八木ケ谷昭次
プロデューサー: 熊谷喜一
企画: 是枝裕和/安田匡裕
原案: 西川美和
脚本: 西川美和
撮影: 高瀬比呂志
美術: 三ツ松けいこ
編集: 宮島竜治
音楽: カリフラワーズ
主題歌: カリフラワーズ『うちに帰ろう』
照明: 小野晃
録音: 白取貢
助監督: 久万真路
出演: オダギリジョー/香川照之/伊武雅刀/新井浩文/真木よう子/木村祐一/ピエール瀧/田山涼成/河原さぶ/キタキマユ/田口トモロヲ/蟹江敬三

『蛇イチゴ』『female フィーメイル』といった作品の監督であるが、西川美和監督の作品は、『ユメ十夜』というオムニバス映画で観ただけでこれが初めて。本作は2006年ブルーリボン賞助演男優賞(香川照之)、監督賞(西川美和)、同年日本映画プロフェッショナル大賞監督賞、ベスト10の2位を受賞している。アート系の独創性高い作品をイメージして観た。
早川稔(香川照之)は家業を継いで親の面倒をみて来た。稔には写真家を目指して家を飛び出た弟・猛(オダギリジョー)がいる。堅気でないことに理解を示さない親との間を取り持っているのが稔である。そんな折母親の葬儀で帰郷した猛だったが、やはり父親・勇(伊武雅刀)とは上手くいかない。今回もその間を母親のように取り持つのが稔だった。芸術家肌の人間の影で家を支える兄弟がいて、片やクリエイティブな人間の方は異性にももてるし、周りからはチヤホヤされるのに対し、残された兄弟の片割れは地味で見栄えがしないというのはよくあるドラマのパターンである。稔と猛の間はなんとか上手くいっていた。だが、稔が想いを寄せる女性、幼馴染の智恵子(真木よう子)と、母親の葬儀で帰省している際に猛が簡単に関係したことを知った時から嫉妬による稔の動揺はいかんともし難いものとなっていく。自分から異性に積極的に行動できない男の最悪の展開となってしまう。智恵子への執念が苦手な吊り橋に足を向け、智恵子を転落死させてしまうという事件に繋がる。よくあるパターンの展開とはいえ、俳優陣の演技も切に迫っており監督の表現は見事と言える。ここからは兄・稔の裁判に、事件現場を本当は目撃していた猛の、兄を庇おうとする証言が、兄の本音を知るにつけ、徐々に揺れ動くのを描いていく。兄の弁護を行うのが叔父の修(蟹江敬三)であり、対する検察官を演じるのが木村祐一である。木村祐一の飄々とした尋問が秀逸。重い映画にいい感じでユーモアを交える。そうして進む裁判の中で、兄が色々な面を我慢して自分に接してくれていた事実を知っていくことで、兄弟の関係は壊れていたことを自覚する猛は、兄を再び取り戻すために、兄が不慮に突き落としたと真実を証言してしまうのだった。そして時は流れ刑期を終えた兄を迎えに行くも、兄は姿を消そうとしていた。バスに乗り込もうとする兄・稔を見つけ、道路を挟んで猛と稔が対面したところで終わる。兄弟の関係は修復出来るのか。そこは分からないまま終劇となるが、私は兄・稔の気持ちをようやく理解した猛であるからこそ、再び兄弟として再出発できると思いたい。弟に気がついた香川照之の表情からはなんとも言えないが前向きに受け取りたい。
私はゆれる兄弟の思いをじっくり描いたなかなかの映画と評価する。ただ弁護を勤めた修は勇の弟であり、この二人にも家を飛び出た修への勇の子供たちに似たような嫉念があったことを描いていたが、こんなのは別に描く必要なし。シンプルに深く掘り下げればいいと思う。

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