静かなる決闘

静かなる決闘(1949/日本)
評価(お奨め度)★★★★
監督: 黒澤明
企画: 本木荘二郎/市川久夫
原作: 菊田一夫
脚本: 黒澤明/谷口千吉
撮影: 相坂操一
美術: 今井高一
衣裳: 藤木しげ
編集: 辻井正則
音楽: 伊福部昭
音響効果: 花岡勝次郎
出演: 三船敏郎/三條美紀/志村喬/植村謙二郎/山口勇/千石規子/中北千枝子 中田多樹子
宮島健一/佐々木正時/泉静治/伊達正/宮島城之/宮崎準之助/飛田喜佐夫/高見貫/須藤恒子/若原初子/町田博子/松村若代/池上湧子/松本茂/工藤洋輔

野戦病院の手術で患者・中田(植村謙二郎)に梅毒をうつされてしまった医師・藤崎恭二(三船敏郎)が、誠実に一人で病気に向き合って生きていこうとする姿を力強く感動的に描く。恭二には婚約者の美佐緒(三條美紀)がいた。本当に慕い会う二人ゆえ、恭二は自分の境遇を話しても美佐緒は自分を見捨てないと考える。親父(志村喬)が経営する病院へ戻ってから、結婚しないと断りだけを言い続けるのだが、美佐緒は理由を聞くまではと病院へ通い続ける。誰にも打ち明けることなく、一人治療薬であるサルバルサン注射を打ち続けていたが効果は無く完治には至らない。一方、境遇を知る限られた二人の理解者は父親と、看護婦として勤める峯岸(千石規子)である。悩み苦しむ恭二の唯一の救いはこの二人の理解者であることも間違いない。自分一人の胸の内だけでは耐え切れない。
恭二にはいつか治れば美佐緒と一緒になれるかもしれないと期待はあったのだろう。ついに美佐緒が結婚するという事を聞いたとき、自分の境遇を猛烈な迫力で嘆き悲しむ。理解者の一人、峯岸の前で泣き叫ぶ。「僕の性欲ってやつは可愛そうだ。・・」どんなに結婚できないこと、更には生々しく、欲求を抑える事がどれだけ辛いのかを訴える。恭二に好意を寄せる峯岸は自分が性欲の捌け口になってもいいいというのだが、この優しさが再び恭二を凛とさせる。世の中なんてのはどうせこんなもん、大した事ないよってな感じを醸し出すけだるい感じを千石規子ならではの演技で表現する。恭二の明かされることのない誠実さに触れてからは、看護婦としても人間としても成長していき、そんな峯岸がとてもかわいい。
恭二の誠実さ、これは梅毒に感染していると知らされながら普通に性生活を送る罪深きを対比することで強調される。中田は妻の妊娠にも事の重大性を認めようとしない。母子共に危険に晒す事を。そうして出産を迎えるが子供は死産。胎児の姿は見るも無残だという。見てはダメだと制止する藤崎親子を振り切り安置室に入った中田はギョっと物凄い声を発して気が触れて部屋を飛び出してくる。我々には胎児の姿は見えないが中田の様子でその恐怖が伝わってくる。現在では梅毒はさほど怖い病気でなくなった。だが、今はエイズという性病が問題となっている。現代人がエイズとどう向き合っていかなければならないか、聖人君子たれと訴える映画。雨の降る野戦病院での手術のシーン。流石に黒澤明監督であるとその迫力に圧倒されてしまった。

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