パンチドランク・ラブ

パンチドランク・ラブ(2002/アメリカ)
PUNCH-DRUNK LOVE
評価(お奨め度)★★★★
監督: ポール・トーマス・アンダーソン
製作: ジョアン・セラー/ポール・トーマス・アンダーソン/ダニエル・ルピ
脚本: ポール・トーマス・アンダーソン
撮影: ロバート・エルスウィット
プロダクションデザイン: ウィリアム・アーノルド
衣装デザイン: マーク・ブリッジス
編集: レスリー・ジョーンズ
音楽: ジョン・ブライオン
出演: アダム・サンドラー/エミリー・ワトソン/ルイス・ガスマン/フィリップ・シーモア・ホフマン/メアリー・リン・ライスカブ
声の出演: ジェイソン・アンドリュース/ドン・マクマナス

P.T.アンダーソンが描くのはただのラブストーリーではない。『ブギーナイツ』『マグノリア』を監督し、あっと言わせた彼は、音(音楽)、カラー、出来事に違和感を感じさせながらアンバランスな心地よさを引き出す。映画のところどころに挿入されるキラキラの映像、サイケデリックな映像が主人公バリー(A.サンドラー)やその他登場人物の心理を浮き立たせる。ブルーのスーツが際立つバリーはいいやつではあるが、7人の姉を持つ末っ子という境遇からストレスを抱え、暴力的に切れる一面を持つ。彼が着ているブルーのスーツが不安定な精神状態を示している。姉からはスーツのことを馬鹿にされている。大人になり切れないバリー。仕事は倉庫を借り、トイレ吸盤棒の販売業を営むこと。プリンを買ってついてくる信じられない多くのマイレージ・ポイント。メーカーのうっかりミスを見抜き、マイレージを貯めるためにプリン買いあさる。バリーにどっか疑問を抱きながら買い物にまで付き合う共同経営者ランス(L.ガスマン)の人のよさが好感。食品会社に「購入した食品のクーポン券に対するマイレージ特典が大きすぎるのでは」と確認するあたりが、真面目な様で不安定な性格が興味。どの食品を買うのが得かを調べる真面目な徹底ぶり。
一方、気をもみながらもテレフォンセックスサービスを利用してしまい、お決まりのようにサービスにかこつけ法外なお金を要求してくるマットレスマンことゆすり屋・ディーン(F.S.ホフマン)とのトラブルを抱える。ところが、切れると姉の家の窓ガラスは割る、レストランのトイレはぶち壊すというような暴力性を持つバリーは、ディーン等とのトラブルを自分一人で解決してしまう。
姉達には未だに子ども扱いする姉達に圧倒され、切れるか、泣き出すことでしか表現できなかったバリーに初めて理解者が現れた。初め逆光シルエットでバリーの前に登場するリナである。シルエットではなく、はっきり見えるようになっても若いのか老けているのか年齢不詳のE.ワトソン演じるリナは、バツイチの謎めいた女性だ。行動不審のバリーを問いただしたり責めたりしないのだ。リナの方から言い寄られたバリーはのことが好きになり、外国に行ったリナを追いかけていく惚れぶり。外国で出会うことの出来た二人のキスシーンは美しい。シルエットで描かれた彼らのバックは、左右に行き来する人たちのシルエットと鮮やかなカラーリングにより演出されたキスシーンとなっている。この美しい絵的なキスシーンだけでも、2002年カンヌ国際映画祭監督賞受賞作となった価値はある。松本人志は残念ながら「シネマ坊主2」で、この作品の内容ぐらいのこと(プリンを買ってマイレージを貯める。)を映画にしないで欲しい的なことを書いていた。『マグノリア』と同じ監督であるので凄く期待したのだと。期待が裏切られたという点では同じであるが、私の評価はそれほど低くない。この程度の事を映画にするというのも楽しみの一つである。些細なことに目を向けストーリーにする。日頃考えもしなかった視点が新しく生まれる。

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